木〇先生、お元気ですか?

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いっぱい☆を貰ったので、もう少し書いてみます。

もう10年程前になるでしょうか。
近所の保育園に娘が通うことになりました。
記憶は定かではないけど、送迎のし易さから選んだ保育園。
最初の登園日はとにかく大泣きしたらしいです。
その頃の娘はとにかく男の人が怖くて近寄ることさえ難しく、
男の人を見ると逃げて隠れるような状態でした。
しかし保育園の担任はなんと男性。
火が着いたように泣き喚いて逃げ出そうと必死だったそうです。

後日、送迎の際にお会いした新卒後数年程の木〇先生。
眩しい若さを放つ爽やかな青年でした。

初日は泣いていた娘も、慣らし保育の期間中に木〇先生にも少しずつ慣れ、
だんだんと大好きになっていく様子が毎日感じられました。
保育園から帰って来てからの話に木〇先生の話が増えてきて、
そのうち毎日木〇先生の話をするようになり、その頃には初日に大泣きしたことは
笑い飛ばせるようにさえなっていました。

現在はどうだか知りませんが、当時は男性の保育士は珍しく、うちの保育園でも
男性は木〇先生だけでした。

(因みに、多数の男性の中に女性が一人の状態を「紅一点」と言いますが、その逆で多数の女性の中に男性が一人の場合には正式な言葉は無く、「黒一点」「青一点」とかいうそうです。)

毎日の送迎の際や運動会や音楽界などの行事で木〇先生にお会いするたびに、溌溂と楽しそうに保育をしておられ、子供たちの喧嘩の仲裁やヤンチャな子のいたずらを叱る際には毅然とした(良い意味での)男らしさを発揮して、先生方の中でも輝きを放っていました。幼稚園や保育園の先生といえば女性に決まっているという考え方しか持っていなかった私にはもちろん、保育園全体の中での木〇先生の存在はとても大きなものでした。

そんな日々の中で、冗談交じりに「木〇先生、男性だといろいろ難しいこととか有るんじゃないですかぁ~?」などと話しかけると、『いやぁ~そうなんですよ、いろいろと、ね!』と明るく爽やかに返されたことを覚えています。

その頃でも、男性の教師や保育士による猥褻事件はたびたびニュースになりましたし、その度に木〇先生のお立場として辛いものが有ったと思います。しかし、我々保護者も保育園の先生方も、木〇先生の普段の保育の様子を知っていましたし、皆から慕われていることが感じ取られましたから、安心して我が子を託すことができました。

ある日、ピアノに向かう木〇先生を見かけました。保育士資格にはピアノが必須ですが、木〇先生はピアノが得意ではないので卒園式に向けての特訓をしているとのことでした。周りにいる園児や同僚の先生に冷やかし囃されながら続く演奏は決してスムーズではありませんでしたが、そのうち一生懸命な練習に圧倒されて皆黙って応援し練習が終わったら拍手されていました。

そんな日常は木〇先生のピアノが上手くなるとともに卒園式が近づき残り少なくなってきます。

保育園では一番お姉さんお兄さんになった年長さんは小学校入学への期待と不安を胸に日々を過ごします。不安定な心情から起こる些細なトラブルも多くあります。
入園した頃からすればかなり成長したとはいえ、まだまだ成長過程の年長さんを見事に纏めていく木〇先生の保育の手腕は、女性の保育士さんに負けず劣らず素晴らしいものでした。

卒園式の日、見事なピアノの演奏でバッチリ決めた木〇先生は、涙ながらの祝辞を述べられ、多くの保護者達も喜びと感謝の涙を流しました。偶然の巡りあわせで受け持っていただいた木〇先生は園児たちの成長を支えてくださり、御本人もまた更に成長されたような気がしました。

卒園してからも、小学校の運動会などにはたびたび顔を出され、卒園生の成長を喜んでおられました。

数年後、木〇先生は別の保育園に移られたと聞きました。ヤンチャな子が多いその保育園でも、木〇先生は木〇先生らしく保育士を頑張っておられることでしょう。

娘はこの春から中学生になります。身長も伸び口は達者になり生意気なことも多くなりましたが、時々『木〇先生は元気かなぁ?』と言ってます。登園初日に泣きじゃくったことなどをほのぼのと思い出します。


男性の保育士の例を、私は木〇先生しか知りません。
保育士は女性が担うべきだと考えていた私は、木〇先生に娘を担任していただいてからは、保育士という仕事は性別に関係なく適任者が担うべきだと考えるようになりました。誰が適任で誰が不適任か、それを調べる術が有るのかはわかりませんが、子供達を喰いものにしようとする異常者を着任させないことは徹底しなければならないと思います。猥褻事件を起こして解任された教師が、他の学校に着任してまた同様の事件を起こしていたことが過去にありました。今回の件がそうならないような手立てが考えられているのか、私は知りません。